100% で japlish のキャッチコピー
Japlish の2大特色「非文法&意味不明」のみの100%純 Japlish、とは100%不純な英語ですが、とにかく100%の純度に到達したキャッチコピーもありますね。
- キャッチコピー:
- 100% of the ingredient are made of Nature.
Join Earth Treasure to you.
化粧品のキャップのキャッチコピー、2センテンスとも「非文法&意味不明」のaccomplished Japlish。まず第1文を100%、of the ingredient、are、made of Natureの4つに区切って見ていきましょう。4セグメント全部誤りで純度100%。
- (1) 100%:
- この 100% は100%誤り。数字(figure)で文を始めないのは英文ライティングの基本ルール、文頭 100はスペル表記で One hundred、それに記号 % をつけた One hundred % もルール違反。従って 100% → One hundred percent(percents は非文法、作者はそう思っているようですが)、数字表記ではなく、 100% スペル表記。
- (2) of the ingredient:
- ingredient(成分)は可算名詞(countable)、従って、この化粧品がたった1つの成分でできていない限り the ingredient → the ingredients(ラベル表示では20種類の成分入り)。
- (3) are:
- 100% of the ingredient は単数扱い、従って are →is、もし (2) の誤りを犯さなかったら、100% を100 percents と思い込んでいても見た目は同じ 100% of the ingredients are、英語運が悪いと言うか、 Japlish 運がよいと言うか。
- (4) made of Nature:
- Nature is nature; what is made of nature is nature itself.(自然は自然、自然でできているものは自然それ自体)、故に made of Natureは「意味不明」。大文字 Nature は自然の擬人化(personification)、Natureは「自然の女神」であり Mother Nature(母なる自然)、それなら of → by、made of → made byで意味は通る(大へん変な make of nature よりmade of Nature はさらに変で、本当に大変)。
従ってキャッチコピーの第1センテンスを訂正すると、
- One hundred percent of the ingredients are made by Nature.
自然な、つまり普通の英語に書き換えると、
- The ingredients are 100% natural.
man-made(人造の)にひっかけた造語(coinage) nature-made(自然造り)でキャッチコピー風味を出すと、
- The ingredients are 100% nature-made.
- [問]
- d. の simply incomprehensible を最大限で強調しなさい。
- The second sentence is simply incomprehensible.
(第2文は全く意味が解せない)
「最小限」なら e. の simply → totally。
- The second sentence is totally incomprehensible.
[答]
- The second sentence is incomprehensibility, pure and simple.
(第2文は純然たる意味不明)
ということでキャッチコピーの第2センテンスは「意味不明」、おまけに「非文法入り」――join A to B(AをBに結合する)構文で命令文(imperative sentence)、この命令文の主語は省略されている you ですから to you は非文法、正しくは再帰代名詞(reflexive pronoun)で to yourself。
「応用する」以外に put(つける)の意味もある apply で以下のように表現するなら、「この化粧品を使ってみな」を応用的に表現したのだなあと「意味深長」に解釈してもらえますね。
- Apply this portion of the Earth's treasure to yourself.
(この地球の宝を使ってみな)
キャッチコピーから 100%、made、Nature の3語句を受け継ぎ、「Japanese + foolish」のような Japlish ではなく、もうひとつの「Japanese + English」でいくなら私のブランド英文キャッチコピー「JAブランド」(和·英文一体成形コピー)、コクのあるプロのコピー。
- キャッチコピー(JEブレンド):
- We have a hand in Nature.
自然に手を染めて、天然成分100%
Our products are 100% made from Her produce.
have a hand in(に関与する)はイディオム、have a hand in Nature「自然に手を染める」は英語でも日本語でも意表をついた斬新な表現。
脳味噌を絞ってもたった1、2センテンスのまともな英文が作れないコピーライターは英文に手を染めるべからず、ですが英語に手を出すことはできますよ。英単語レベルなら hapless な Japlish になりようがない、ひとつお手本を示しましょう。
- キャッチコピー(JEブレンド):
-
eigodojo
英語でどうする
英語でdoする
英語道の英語DO
www.e-dojo.jp
「2019」のライティング、ネイティブのスピーキング力
2019 was Australia's hottest and driest on record, and the resulting fires all but exhausted the men and women constantly called to battle them. Peter Holding, 66, who has been a volunteer firefighter for 43 years, says he's never seen anything as severe as last summer's bushfire season—a devastating period now known as the Black Summer. “There's going to have to be some very serious effort put into reducing emissions if we're going to stop this from getting any worse,” he says.
(2019年はオーストラリアの記録上もっとも暑い、もっとも苛酷な年で、そのため発生した山火事の消火を絶え間なく命じられる男女のボランティア消防隊員たちはもうへとへとになってしまった。これまで43年間ボランティア消防士を務めた66歳のピーター·ホールディングは、今やブラックサマーと知られる大被害を与えた期間――昨年のオーストラリア奥地の山火事シーズンのような厳しいものはかつて見たことがないと語る。「係る事態をこれ以上悪化させないつもりなら、二酸化炭素排出量を減らす真剣な取り組みがなければならない。」)
出典:TIME 2020年12月21日、28合併号 p.p.21
- [問1]
- 数字でセンテンスを始めないライティングの慣用ルールを破る「2019」を改めるとすれば、どう表現することになるのか。
– 続く –
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