英語の仮定法って、どんな mood? 英語の法(mood)がわかっていないのに、仮定法がマスターできるわけがない

英語の法(mood)を理解しない仮定法は英文法の無法地帯。

TMシステムの英語学習革命

「英語の壁」は英文法の壁。
この「壁」は英語教育公害!

ここに時制&仮定法というあなたがマスターできなかった英語の領域がある。これは、マスターしようと文法書や参考書を読みまくっても決してマスターできない英語領域であり続けてきた。あなたも彼も彼女もA先生もB先生も、実は著者Aも著者Bもマスターしていない英語文法領域である。根本に(mood/mode)の無理解がある。

「冠詞は苦手、でも英語はマスターしている」なんて英語マスターはありえない。「仮定法はよくわからないけど英語はマスターした」なんて英語マスターもありえない。「関係代名詞はまあまあ、関係副詞はいろいろわからない点があるが、まあそれでいい。関係形容詞なんてものは自分とは関係がない」なんて学習姿勢だと英語習得なんてものは関係ないことになる。

実はあれもこれも苦手、あれもこれもよくわかっていない、あれもこれも知らない――その結果、英語習得は全く結実しないか、小さく結んでも熟さず、苦いまま、小粒のまま地に落ちる。英語学習20年、30年、40年で英語がマスターできない、教え方が悪いのか、学び方が悪いのか――確かに教え方も学び方も悪い、しかし教える側がよくわかっていないのに学ぶ側がよくわかるということは絶対にないのだ。

「イタリア人は米を食べますか。」「イスラム教徒は豚肉を食べない。」「水が飲みたい。」なんて単純な意味を英訳すると、

  1. Do the Italians eat rice?
  2. Do the Italians eat any rice?
  3. The Muslims do not eat pork.
  4. The Muslims do not eat any pork.
  5. I want to drink water.
  6. I want to drink some water.
  7. What I want to drink is water.
  8. What I want to drink is some water.
  9. All I want to drink is water.
  10. All I want to drink is some water.

すると、any をつけるつけない、some をつけるつけない、つけると非文法、つけないと非文法、つけると不自然、つけないと不自然――つけるのとつけないのではどこがどう違う、なぜ違いが生じるのか? という文法の問題に直面する。

こんなことは問題じゃない、ときっぱり言いたいところ。「こんなこと」は英文法のABCで当然わかっていなければならいことで、今さら「よくわからない。」と恥ずかしくて言えないようなことだから。

しかし、私は複数のトップレベルの受験校のトップレベルの高校生を多数教えた経験から、独自のテキストで「any、some、no のシステム」を根本的に教えた実体験から、東大にすんなり進学してしまう秀才達でも、高3でも、「こんなこと」がよくわかっていないことを知っている。

例えば「水が飲みたい。」のあなたの英訳は water に some を冠した f. で、some なしの e. ではないだろう。

しかし、what型強調構文(TMシステムの用語)で e. → g.、f. → h. と変形すると、今度は some なしの g. が自然で、some ありの h. は非文法ではないがかなり不自然な英語に変質してしまう。g. が自然な英語表現であるということは、変形前の e. も誤りではないことを意味する。ただし、e. と f. ではその意味内容に違いがある。

all型強調構文(TMシステムの用語)で e. → i.、f. → j. と変形すると、what型強調構文と反対の現象を生じる。今度は、some なしの i. が力みすぎて不自然、some ありの j. はすこぶる自然。

TMシステムとこれまでの英語学習、これまでの英語教育との根本的違いは、まさに「根本」にある。

英文法と一口に言っても、それは時制のシステム、法のシステム、関係詞のシステム、等位接続詞のシステム、there構文(there is構文)のシステム、分詞構文のシステム、形式主語・目的語構文のシステム、比較構文のシステム、否定のシステム···等々で構築された統合体である。

各システムには土台となる文法原理があり、原理の違いがシステムの違いであり、各システム固有の文法原理を十分に理解せずにそのシステムをマスターすることは絶対にありえない。

各システムにそれぞれ文法原理があるように、英文法それ自体にも変形(transformation:意味が変わらず形態が変わること)なる根本原理がある。

TMシステムは英文法を全的に教えるだけでなく、各システムの学習に際して必ず第一にそのシステムの根本、原理を教え、そのシステムの名称である文法用語をきちんと定義する。

例えば、分詞構文(participial constructions)のシステムなら、まず分詞構文を生成する変形プロセスを厳密に教え、「分詞構文」を定義し、その上で分詞構文をタイプ化し、さらに分詞構文の応用展開まで教え、分詞構文を全的に教えきる。

分詞構文は3方向で応用展開し、自己超越し、もはや分詞構文ではなくなるまで進化する。

その一方向は、分詞構文の現在分詞の前置詞化である。

このタイプで最も頻度が高く、最も進化している前置詞は?――それは前置詞 including(···を含めて)、動詞 include には進行形がないので、実際に使われている including は以下の3タイプ。

前置詞 including には2タイプある。

A型はふつうの前置詞のように機能するだけでなく、先行する文構造と文脈によっては前置詞の目的語にならない that節も目的語にできるという特別機能を持つ。

B型の「前置詞(including)+ 前置詞」は、ふつうの「前置詞 + 前置詞」とは全く異なる文法機能を果たす。

ふつうの「前置詞 + 前置詞」は、例えば from under the desk(机の下から)のように、「···の下から」を意味する1つの前置詞がないので、2つの前置詞 under(···の下に)とfrom(···から)を連ねて1つの前置詞のように機能する。

「including + 前置詞」の「前置詞」は特定の前置詞に限らず、先行する文構造と文脈から変形を介して生成する。以下2つの引用文の「including in」「including on」「including of」に注目!

, the Bitcoin-mining industry is urgently trying to push bills through state legislatures, including in Indiana and Missouri, that would exempt Bitcoin mines from local zoning or noise ordinances.

出典:TIME 2024年8月5日号 p.44

Harris will have to answer for the Biden Administration's record, including on inflation and border security.

出典:TIME 2024年8月26日号 p.34

His security regime can make arrests without warrants, including of minors as young as 12, and hauls hundreds of suspects into mass trials.

出典:TIME 2024年9月16日号 p.22

TMシステムの「分詞構文のシステム」と今日これまでの英語教育の分詞構文との間には、文字通り雲泥の差がある。

ほとんどの人は including という前置詞があることさえ知らない。これまでに、1度でも正しくB型を使ったことのある日本人は何人いるのであろうか?

日本人がB型を理解し、正しく使うようになったら、それだけでも英語革命!なんとなれば、この進歩の背後にはB型まで教える革命レベルの英語教育が存在するということであるのだから。

ネイティブは莫々大々な学習量でB型まで習得する。この「莫々大々」に比すれば、私たちの微々少々な英語学習でいかに英文法をマスターしえるのか?――これは英語教育上の大問題である。

英語教育として、英文法を全的に教えない、教えることができない――ということであれば、それは英語教育として、英語習得を実現可能な現実のゴールにしない、できないということである。

[問1]
k. 文の懸垂分詞を訂正しなさい。
  1. *Getting up, it was already time for lunch.
    (起きたら、もう昼飯時だった。)

懸垂分詞(dangling participle)とは、分詞構文の分詞の主語と分詞句が修飾する節の主語が一致しないにもかかわらず分詞の主語が省略された非文法な形態である。

主語は it、getting の主語は I、だったら、I を表示した独立分詞構文(absolute participial construction)の l. 文で正解なのか、という問なのである。

  1. I getting up, it was already time for lunch.

確かに懸垂分詞ではなくなるが、getting の主語が代名詞 I のぎこちない英語表現 I getting up, なら、非文法な Getting up, のほうが実用価値が高い。

「懸垂分詞を訂正しなさい」と問われると、あなたの視点は When I got up, から変形生成した分詞句 Getting up, にくぎづけになり、ライティングの視点から主節を改めるという発想が浮かばない。

正解は、主節に I found を加えた m. 文。

  1. Getting up, I found it was already time for lunch.

分詞構文は精妙な接続のテクニック――その変形の仕組は文法の領域にあるが、その応用活用は技法の領域にある。

ライティングの視点から以下4文を評価すると、

使いものにならない英文:
I getting up, it was already time for lunch.
使えるが難あり:
*Getting up, it was already time for lunch.
文法レベルの英文:
When I got up, it was already time for lunch.
技法レベルの英文:
Getting up, I found it was already time for lunch.

4語 When I got up が2語 Getting up の表現簡潔化と動詞(現在分詞)で力強く文を切り出す強調効果の相乗効果と、接続詞という文法機能を使わない精妙な接続が分詞構文の表現力。

単純な文法問題の装いの問1は、実は、TMシステムの「実際的に深く、深く実際的」をデモンストレーションした応用問題。

ところで、あなたは、多分、「意味上の主語」なる文法用語を本や授業で見たり聞いたりしているだろう。

例えば、l. 文の分詞構文の主語 I を「意味上の主語」と言及する。

今日これまで、著者も先生も非定形動詞(non-finite verb:動名詞、分詞、不定詞)の主語を「意味上の主語」と呼んできた。

例えば、英文法の参考書として権威になっている江川泰一郎著『英文法解説』でも、著者は「意味上の主語」を解説することも定義することもなく、この文法用語を非定形動詞の主語の意で使っている。

「意味上の主語」とは省略されている非定形動詞の主語を特定する定形動詞の主語のことである。

したがって、m. 文では現在分詞 Getting の「意味上の主語」は定形動詞 found の主語 I であり、l. 文には「意味上の主語」はない。

「意味上の主語」それ自体の意味を、「意味上」の意味それ自体を問えば、答えることのできる文法学者、英語教師はいるのであろうか?

なぜ非定形動詞のただの「主語」をことさら「意味上の主語」と言及する必要があるのか?

誰も進行形「助動詞 be + 現在分詞」の現在分詞の主語を「意味上の主語」と言わないのに、なぜ誰もが分詞構文の現在分詞の主語を「意味上の主語」と呼ぶのか?

誰も彼も、著者も先生も「意味上の主語」の意味がわかっていないのにこの文法用語を無意味に使っている。

今日これまでの「意味上の主語」は無意味で有害不要、しかし本義の「意味上の主語」は変形を解説する上で非常に有意義な文法用語である。

今日ここまで無意味な「意味上の主語」が普及した原因は『英文法解説』にあるようだ。TMシステムとしては、「高レベル英語学習」の1ページ「現在分詞と動名詞で人生学」の「第1話:変化を見る」で変形的視点から「意味上の主語」をきちんと解説する。

文法用語の意味がわかっていないのに皆が、著者も先生も使っている例をもう1つ挙げよう。

仮定法現在の「現在」の意味を問えば、答えることのできる方がいるのであろうか?「現在」を解説した著者がいるのであろうか?

仮定法で動詞形が過去形であるものが仮定法過去、仮定法で動詞形が過去完了形であるものが仮定法過去完了、仮定法で動詞形が現在形であるものが「仮定法現在」は笑い話。

仮定法で動詞形が不定詞(infinitive)であるものを「仮定法不定詞」(TMシステムでは仮定法不定詞)とせず、なぜ「仮定法現在」とするのか?

と問えば、あなたは変な問だと思うだろう。

あなたの「不定詞」は「to不定詞」のことであり、あなたの頭に入っているのは「不定詞 = to不定詞」のイコール関係だから。

文法ウィルス「不定詞 = to不定詞」が蔓延している。第1の感染源は『英文法解説』、第2感染源は『英標』、第3の感染源は教室――不定詞はto不定詞のことではなく、不定詞はto不定詞の簡略な言い方ではないのだ。

あなたは驚くだろうが、「to不定詞」は実に、文字通り不定詞に to のついた「不定詞プラス to」なのである。

ちなみに、今度は冗談でなく本当に驚くだろうが、原形不定詞(bare/root infinitive)はただの不定詞で「原形不定詞 = 不定詞」のイコール関係なのである。

では、なぜ That makes me laugh.(それには笑ってしまう。)の laugh をことさら原形不定詞と言及するのかと言えば、I want you to understand this much.(ここまではわかってもらいたい。)のような一般形「S + V + O + to不定詞(C)」に対し、「S + V + O + 不定詞(C)」で to不定詞ではなく不定詞である点を強調した「原形不定詞」なのである。

ところが、「不定詞」を強調した「原形不定詞」が「要注意!to不定詞でなく、ただの不定詞」と理解されずに「to のない不定詞」と了解されますます「不定詞 = to不定詞」を強化する逆効果となった次第。

小さな文字がぴっしり詰まった548ページの大作の中で著者は一貫して「to不定詞」を「不定詞」と記載しているのであるから、その誤りの数たるや推して知るべし。

『英文法解説』第13章は「準動詞」、その冒頭に「準動詞は不定詞(Infinitive)・分詞(Participle)・動名詞(Gerund)の3つがある。」とあり、まず不定詞から始まり、「(1)基本用法」で名詞用法、形容詞用法、副詞用法と続く。

言うまでもなく、しかし言わねばならないが、to不定詞にはこの3用法があるが、不定詞には「動詞用法」しかない。

なぜ大学教授がこんな初歩的な誤りを犯したのか、なぜ高名な文法学者が「不定詞 = to不定詞」と誤解し得たのか?誰しも勘違いするし、サルも木から落ちるということもある。しかし、落ちたサルは再び木に登る。

初版1953年、1991年改訂で今日に至るこのロングセラーの場合、問題は、英文法の樹の不定詞の枝から地に落ちた著者が落ちたまま自ら起き上がることも、誰かに起こされることもなかった事実、英語教育の現実である。

1953年から1991年の38年間、1人の文法家も、1人の同僚も著者に「不定詞 = to不定詞」の誤りを指摘しなかったという事実、出版社にこの重大な誤りを通知した1人の英語教師もいなかった事実――これらの事実は、英語教育上、大問題である。

なぜならば、この2つの事実は、確かに以下2つの事実を証しているのであるから。

不定詞の用法はいろいろある。

不定詞の6用法:
助動詞 + 不定詞: We must try it again.(もう一度やってみなければいけない。)の try。
to + 不定詞: We need to try it again.(もう一度やってみる必要がある。)の try。
原形不定詞: That made us try it again.(それでもう一度やってみることにした。)の try。
命令法: Try it again, and you will be able to pull it off this time.(もう一度やってみなさい、今度はやってのけることができるだろう。)の Try。
仮定法不定詞(仮定法現在): We will try it again and again if need be.(必要とあれば、何度でも試みよう。)の be(need は名詞で be の主語)。
強調構文: All we need to do is try it again.(必要なことは、ただ、もう一度試みることだ。)の try。

不定詞の用法が6つもあるのに、なぜ本来の「不定詞」をずっと、ずっと使わずに済ますことができたのか?

「to不定詞って何?」と問えば、「高校生」はもちろん「学生諸君」も「先生方」も「一般社会人」も異口同音で「to + 原形」とくる。

「to不定詞 = 不定詞」の裏は「不定詞 = 原形」の誤りである。

原形(root)は抽象概念で、動詞だけでなく、名詞にも形容詞にもその他の品詞にも原形がある。

動詞の原形の形態は不定詞形であり、名詞の原形の形態は単数形(singular form)であり、形容詞の原形の形態は原級(positive degree)の形態である。

抽象概念の「原形」が具現化したのが辞書の見出し語である。

動詞、助動詞の場合、絶対に誤解してはならない点は、「原形の形態 = 不定詞の形態」であるが、「原形 = 不定詞」ではないことである。

不定詞と原形の決定的違い:
不定詞は文法機能(6つの用法)を有するが、原形は文法機能を有さない。
[問2]
n.文が誤りで、o. 文が正しい理由を説明しなさい。
  1. *You will must understand why you need to change the way you look at the English education that you have received so far.
  2. You will have to understand why you need to change the way you look at the English education that you have received so far.
    (なぜ、あなたがこれまで受けた英語教育の見方を変える必要があるのか理解しなければならなくなるだろう。)

助動詞 will と助動詞 must は並置できないから、では説明になっていない。問2は、will と must が並置できない理由を問うているのだから。

問2の文法レベルは中学レベル――しかし、to不定詞が不定詞で不定詞が原形であった今日これまでの英語教育では、高校・大学の先生方でも文法用語を用いてきちんと説明することはできない、絶対!

– 続く –

TMシステム(The Thorough Mastering System)
英語の文法と技法の全容を実際的に深く、
深く実際的に教えきる初の英語習熟教育。

学習レベルが高くても、本当にわかっている人が必要な説明を尽くして教えれば、本気でわかろうとする人はわかる、それがわかる。

TMシステムの3大英語理解:
英語は文法プラス技法のことば。
英文法の中核は変形。
英技法の中核は変形技法。

英語の時制と仮定法は最悪の英文法領域

伝統文法(traditional grammar)が時制&仮定法の文法領域を完成する前に、文法界は変形生成文法(transformational generative grammar)や認知文法(cognitive grammar)の時代になり、時制&仮定法は放ったらかしになったまま相当ひどいことになっている。

英語の時制&仮定法を100%明快に、100%完璧に解説し、きちんとシステム化できる者が一人いる。

問1 英語の仮定法の以下4つの文法用語に consistency (一貫性)はあるのか?

consistency がないということは文法用語が混乱しているということであり、文法用語が混乱しているということは根本的なところに誤りがある示唆である。

consistency があると答えるなら、次の問が待っている。

問2 仮定法現在の「現在」を説明しなさい。

(mood)」に関する文法用語では、誰もはっきりしたことは何も言わない。mood の「法」が法律や法則の「法」ではなく、むしろ方法の「法」であるとさえ言わない。

しかし私が「法」は「モード」、動詞形を「仮定モード」に切り換えるのが「仮定法」と言うと、雲をつかむような「法」のもやもやが少し晴れてあなたはちょっぴり明るいムード。

例えば「直説法」――そも「直説」は日本語であらず、「直説法」を「直接法」と思い込んでいる人も少なからず。明らかに「直説法」は the indicative mood の訳語でも、意訳語でもなく、明らかに「直説」の説明が必要。明らかに「直説法」の作者は「indicative」を理解できなかった文法家。

しかし「直説法はこれこれ、これこれの意味内容を表出するのに用いられる法」と「直説法」を直接的に解説する方は、「直説法」が本質的にわかっていない文法家。

例えば、英文法の解説書として権威になっている江川泰一郎著『英文法解説』――そこでは、なんと「法(mood)」なる文法用語それ自体が闇に葬られている。

「誰もはっきりしたことは何も言わない」とはっきり言うと、はっきりしたことを言う義務を負うことになる。

「仮定法過去」は「仮定法で動詞は過去形」、「仮定法過去完了」は「仮定法で動詞は過去完了形」とはっきり言うと、それでは「仮定法現在」は? と仮定法現在についてもはっきりしたことを言わねばならないので文法家や教師は何も言わない、いや何も言えないのだ――とはっきり言うと、仮定法現在についてもはっきりしたことを言う義務を負うことになる。

言うまでもなく「仮定法現在」は以下2つの理由で「仮定法で動詞は現在形」ではない。

「現在」が「現在形」を意味しないのなら、他に意味することは1つだけ――仮定法現在の「現在」は「現在時制(present tense)」。

と言うことは、

と言うことで、以下の2つにタイプ化される。

どちらか一方の命名法が正しくて他方は誤り、という問題ではない。問題は2つの命名法が混在し、仮定法は文法用語の段階ですでに混乱していること――こんないい加減は英文法上の大問題、こんなでたらめが通用してきたことは英語教育上の大問題。

1つの命名法に統一する必要があるが、この二者択一は常識の問題。

「仮定法 + 時制」で統一すると、「仮定法過去」と「仮定法過去完了」を改名することになる。

「仮定法 + 時制」式に改めた「仮定法過去」:
仮定法現在
仮定法未来

その結果、1つの文法用語が2つになり、「仮定法現在」は動詞が不定詞の仮定法現在と過去形の仮定法現在の2タイプあることになる。常識的判断として、この増加と複雑化は歓迎できない。

「仮定法 + 時制」式に改めた「仮定法過去完了」:
仮定法過去
仮定法過去完了
仮定法現在完了
仮定法未来完了

この4倍化は非常識!

この故に、「仮定法現在」と「仮定法未来」を「仮定法 + 動詞形」式に改めるのが正解。

仮定法不定詞(subjunctive infinitive)の誕生!

しかし、これで仮定法現在の「現在」にけりがついたのではない、つまり「現在」が消滅するのではない。仮定法現在死すとも「現在」は死なず――「英語の時制と仮定法は二人三脚」である。

あるいは「現在」だけに問題があるのでもない。仮定法現在は用語と用法の両方に根本的誤りがあり、「仮定法現在の「現在」が原罪?」で文法裁判に発展、被告は言わずもがな英文法学者。

問3 命令法とは命令文のことか?

「命令法 = 命令文」? ――この問に答える前に、命令文は常に命令法とは限らない、この命令文の根本を確認しておく必要がある。

命令文の2タイプ:
命令法の命令文
直説法の命令文

以下の引用文に2タイプの命令文が見つかる。Get a grip, = Get a grip on yourself, (自制しろ)はもちろん命令法の命令文。

“Get a grip, Cilic,” the provocative TV host Piers Morgan tweeted. “You don't sob like a baby because you're losing. That's pathetic. ” (「しっかりしろよ、チリッチ。負けているからってちっちゃな子供のようにめそめそ泣くなよ。それじゃ哀れだぞ」と挑発的テレビ司会者ピアーズ・モーガンはツイート。)

出典:TIME 2017年7月31日号 pp. 17-18

ご存知のように命令文にも肯定文と否定文の両方がある。否定命令文 You don't sob like a baby because you're losing. は Don't sob like a baby because you're losing. に強意の主語 you を冠した形態。

助動詞 do には不定詞形がないので助動詞doを使った否定命令文は直説法になる。

否定命令文の2タイプ:
命令法:Never sob like a baby.
直説法:Don't you ever sob like a baby.

Don't sob like a baby. → Never sob like a baby. → Don't you ever sob like a baby. と表現は強調的になる。

しかし not を不定詞の後に置くと、否定命令文の表情は一転する。

この表情で、短縮形 you're を you are に戻し、文脈から切り離すと、諺の誕生!

Sob not like a baby because you are losing.
(ことわざ: 負けているからといって幼子のように泣くなかれ。)

この諺は半分冗談、半分マジ――なにしろ表情がマジマジ。

この古文調の文語調の格調高い「不定詞+ not」のかの有名な否定命令文と言えば、ケネディの大統領就任演説の一くだり。

Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country. (国に何をしてもらえるのかと問わず、国のために何ができるのかと問うべし)

命令法で Ask not と切り出さないのなら、ライティングのレベルでは、短縮形 Don't でなく Do not の否定命令も、強調の助動詞 do を ask に冠した肯定命令も直説法の以下の英文。

Do not ask what your country can do for you,
do ask what you can do for your country.

この名言は対照法(antithesis)の典型としてよく引用されはするが、ライティングの視点から解説されることはなかった。

Ask not と Do not ask は1語差――1語差が雲泥の差のもう一例は、かの有名なケネディの名言よりかなり有名なリンカンの「人民の、人民による、人民のための政治」。

and 1語をプラスすると、「不朽」も朽ちだすでっかいマイナス。

並列:
government of the people, by the people, for the people
等位構造:
government of the people, by the people, and for the people

「命令法とは命令文のことか?」とは「命令法とは命令文のみで使う法か?」の意――この命令法の命にかかわる問に答えるのが「仮定法現在の『現在』が原罪?」。

英語の法(mood)の第一命題:
もし仮に英語には仮定法も命令法もないとすれば、英語の法は直説法だけである。

これは、問と言わずに命題と言おう。これは、英語の法の根本の根本を問う命題である。

だから、この命題の真偽を判断できない方は、誰であれ、英語の法が根本的にわかっていないことになる。

– 続く –

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どだい、土台が違う

木造平屋建ての土台でビルは建てられない。3階ビルの土台に30階高層ビルは建たない。英語ができるといっても、いわば平屋の英語力と、いわば高層ビルの英語力の違いがある。

どこまで英語力を伸ばせるか。
どこまで実力が積み上がるか、
それは、土台で決まる。

世に、ネイティブ級ライティング力の超高層英語力を
現実に実現できる英語教育は、TMシステムあるのみ。

TMシステム
(The Thorough Mastering System)
英語の文法と技法の全容を実際的に深く、
深く実際的に教えきる初の英語習熟教育。

重たい英語学習を避けるなら、
どこまでも、どこまでも、どこまでも
軽い英語力でいくしかない。
深い英語学習を避けるなら、
いつまでも、いつまでも、いつまでも
理解の大不足のままでいるしかない。