英語の仮定法って、どんな mood? 英語の法(mood)がわかっていないのに、仮定法がマスターできるわけがない

英語の法(mood)を理解しない仮定法は英文法の無法地帯。

英語の時制と仮定法は最悪の英文法領域

伝統文法(traditional grammar)が時制&仮定法の文法領域を完成する前に、文法界は変形生成文法(transformational generative grammar)や認知文法(cognitive grammar)の時代になり、時制&仮定法は放ったらかしになったまま相当ひどいことになっている。

英語の時制&仮定法を100%明快に、100%完璧に解説し、きちんとシステム化できる者が一人いる。

問1 英語の仮定法の以下4つの文法用語に consistency (一貫性)はあるのか?

consistency がないということは文法用語が混乱しているということであり、文法用語が混乱しているということは根本的なところに誤りがある示唆である。

consistency があると答えるなら、次の問が待っている。

問2 仮定法現在の「現在」を説明しなさい。

(mood)」に関する文法用語では、誰もはっきりしたことは何も言わない。mood の「法」が法律や法則の「法」ではなく、むしろ方法の「法」であるとさえ言わない。

しかし私が「法」は「モード」、動詞形を「仮定モード」に切り換えるのが「仮定法」と言うと、雲をつかむような「法」のもやもやが少し晴れてあなたはちょっぴり明るいムード。

例えば「直説法」――そも「直説」は日本語であらず、「直説法」を「直接法」と思い込んでいる人も少なからず。明らかに「直説法」は the indicative mood の訳語でも、意訳語でもなく、明らかに「直説」の説明が必要。明らかに「直説法」の作者は「indicative」を理解できなかった文法家。

しかし「直説法はこれこれ、これこれの意味内容を表出するのに用いられる法」と「直説法」を直接的に解説する方は、「直説法」が本質的にわかっていない文法家。

例えば、英文法の解説書として権威になっている江川泰一郎著『英文法解説』――そこでは、なんと「法(mood)」なる文法用語それ自体が闇に葬られている。

「誰もはっきりしたことは何も言わない」とはっきり言うと、はっきりしたことを言う義務を負うことになる。

「仮定法過去」は「仮定法で動詞は過去形」、「仮定法過去完了」は「仮定法で動詞は過去完了形」とはっきり言うと、それでは「仮定法現在」は? と仮定法現在についてもはっきりしたことを言わねばならないので文法家や教師は何も言わない、いや何も言えないのだ――とはっきり言うと、仮定法現在についてもはっきりしたことを言う義務を負うことになる。

言うまでもなく「仮定法現在」は以下2つの理由で「仮定法で動詞は現在形」ではない。

「現在」が「現在形」を意味しないのなら、他に意味することは1つだけ――仮定法現在の「現在」は「現在時制(present tense)」。

と言うことは、

と言うことで、以下の2つにタイプ化される。

どちらか一方の命名法が正しくて他方は誤り、という問題ではない。問題は2つの命名法が混在し、仮定法は文法用語の段階ですでに混乱していること――こんないい加減は英文法上の大問題、こんなでたらめが通用してきたことは英語教育上の大問題。

1つの命名法に統一する必要があるが、この二者択一は常識の問題。

「仮定法 + 時制」で統一すると、「仮定法過去」と「仮定法過去完了」を改名することになる。

「仮定法 + 時制」式に改めた「仮定法過去」:
仮定法現在
仮定法未来

その結果、1つの文法用語が2つになり、「仮定法現在」は動詞が不定詞の仮定法現在と過去形の仮定法現在の2タイプあることになる。常識的判断として、この増加と複雑化は歓迎できない。

「仮定法 + 時制」式に改めた「仮定法過去完了」:
仮定法過去
仮定法過去完了
仮定法現在完了
仮定法未来完了

この4倍化は非常識!

この故に、「仮定法現在」と「仮定法未来」を「仮定法 + 動詞形」式に改めるのが正解。

仮定法不定詞(subjunctive infinitive)の誕生!

しかし、これで仮定法現在の「現在」にけりがついたのではない、つまり「現在」が消滅するのではない。仮定法現在死すとも「現在」は死なず――「英語の時制と仮定法は二人三脚」である。

あるいは「現在」だけに問題があるのでもない。仮定法現在は用語と用法の両方に根本的誤りがあり、「仮定法現在の「現在」が原罪?」で文法裁判に発展、被告は言わずもがな英文法学者。

問3 命令法とは命令文のことか?

「命令法 = 命令文」? ――この問に答える前に、命令文は常に命令法とは限らない、この命令文の根本を確認しておく必要がある。

命令文の2タイプ:
命令法の命令文
直説法の命令文

以下の引用文に2タイプの命令文が見つかる。Get a grip, = Get a grip on yourself, (自制しろ)はもちろん命令法の命令文。

“Get a grip, Cilic,” the provocative TV host Piers Morgan tweeted. “You don't sob like a baby because you're losing. That's pathetic. ” (「しっかりしろよ、チリッチ。負けているからってちっちゃな子供のようにめそめそ泣くなよ。それじゃ哀れだぞ」と挑発的テレビ司会者ピアーズ・モーガンはツイート。)

出典:TIME 2017年7月31日号 pp. 17-18

ご存知のように命令文にも肯定文と否定文の両方がある。否定命令文 You don't sob like a baby because you're losing. は Don't sob like a baby because you're losing. に強意の主語 you を冠した形態。

助動詞 do には不定詞形がないので助動詞doを使った否定命令文は直説法になる。

否定命令文の2タイプ:
命令法:Never sob like a baby.
直説法:Don't you ever sob like a baby.

Don't sob like a baby. → Never sob like a baby. → Don't you ever sob like a baby. と表現は強調的になる。

しかし not を不定詞の後に置くと、否定命令文の表情は一転する。

この表情で、短縮形 you're を you are に戻し、文脈から切り離すと、諺の誕生!

Sob not like a baby because you are losing.
(ことわざ: 負けているからといって幼子のように泣くなかれ。)

この諺は半分冗談、半分マジ――なにしろ表情がマジマジ。

この古文調の文語調の格調高い「不定詞+ not」のかの有名な否定命令文と言えば、ケネディの大統領就任演説の一くだり。

Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country. (国に何をしてもらえるのかと問わず、国のために何ができるのかと問うべし)

命令法で Ask not と切り出さないのなら、ライティングのレベルでは、短縮形 Don't でなく Do not の否定命令も、強調の助動詞 do を ask に冠した肯定命令も直説法の以下の英文。

Do not ask what your country can do for you,
do ask what you can do for your country.

この名言は対照法(antithesis)の典型としてよく引用されはするが、ライティングの視点から解説されることはなかった。

Ask not と Do not ask は1語差――1語差が雲泥の差のもう一例は、かの有名なケネディの名言よりかなり有名なリンカンの「人民の、人民による、人民のための政治」。

and 1語をプラスすると、「不朽」も朽ちだすでっかいマイナス。

並列:
government of the people, by the people, for the people
等位構造:
government of the people, by the people, and for the people

「命令法とは命令文のことか?」とは「命令法とは命令文のみで使う法か?」の意――この命令法の命にかかわる問に答えるのが「仮定法現在の『現在』が原罪?」。

英語の法(mood)の第一命題:
もし仮に英語には仮定法も命令法もないとすれば、英語の法は直説法だけである。

これは、問と言わずに命題と言おう。これは、英語の法の根本の根本を問う命題である。

だから、この命題の真偽を判断できない方は、誰であれ、英語の法が根本的にわかっていないことになる。

– 続く –

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どだい、土台が違う

木造平屋建ての土台でビルは建てられない。3階ビルの土台に30階高層ビルは建たない。英語ができるといっても、いわば平屋の英語力と、いわば高層ビルの英語力の違いがある。

どこまで英語力を伸ばせるか。
どこまで実力が積み上がるか、
それは、土台で決まる。

世に、ネイティブ級ライティング力の超高層英語力を
現実に実現できる英語教育は、TMシステムあるのみ。

TMシステム
(The Thorough Mastering System)
英語の文法と技法の全容を実際的に深く、
深く実際的に教えきる初の英語習熟教育。

重たい英語学習を避けるなら、
どこまでも、どこまでも、どこまでも
軽い英語力でいくしかない。
深い英語学習を避けるなら、
いつまでも、いつまでも、いつまでも
理解の大不足のままでいるしかない。