仮定法現在は誤りだらけ、むしろ誤りだけ。仮定法現在と呼んでいるものの99%は仮定法ではない。

You have a choice. But you have no choice but to choose “pro” when it comes to never failing to master English thoroughly.

英語教育にもプロとアマがある。英語習得を達成できる英語教育がプロであり、それは、英語の文法と技法の全容を実際的に深く、深く実際的に教えきるTMシステムのことである。

英語教育のゴールは、言うまでもなく、英語習得であるが、この道を進んで行けば必然的にゴールに至るという道、つまり、英語学習システムが確立されていなければ、ゴールは架空のもの、たんなる理想にほかならない。

「プロ」を教える「高レベル英語学習」の6ページ:

仮定法現在は違「法」

仮定法現在(subjunctive present)の「原罪」を陳述する前に、まず仮定法現在の違法を告発する必要がある。(mood)に暗い世の文法学者や参考書類の著者は命令法(imperative mood)を仮定法と取り違える違「法」を犯し続けている。

問1 命令法は命令文のみで使う法か?

仮定法(subjunctive)が条件文の条件節(protasis)と帰結節(apodosis)だけで使う法ではないように、命令法も命令文に制限されるものではない。命令法を命令文に限らねばならない文法上の制約はない。

このことは(mood/mode)が本当にわかっている人なら常識的に納得できることである。

英語には以下3つの法があることになっている。

  • 直説法 (indicative mood)
  • 仮定法 (subjunctive mood)
  • 命令法 (imperative mood)

しかし現実には、学習書や授業の中では以下の2つ――「命令法」は抹殺されている。

  • 直説法
  • 仮定法

英文法の解説書として権威になっている江川泰一郎著『英文法解説』(548ページ)に「命令法」はまったく出てこない――著者は命令法を暗殺、なぜ?

もし命令法が命令文でのみ使う法であるのなら、確かに「命令文」1つでこと足りる。しかし「命令法と命令文は同一内容なので、本書は命令法なる文法用語は使用しない」と、著者は一言ことわりを入れておくべきところ。

法(mood)に関して『英文法解説』に出てくる2つの文法用語:
直説法
仮定法
法(mood)に関して『英文法解説』に出てこない2つの文法用語:
命令法

「法」が無ければ「法」は無法地帯――「命令法」の暗殺も無「法」のしわざ。

  1. The steering committee suggested that this be done immediately.
  2. The steering committee requested that this be done immediately.
  3. The steering committee demanded that this be done immediately.
  4. The steering committee ordered that this be done immediately.

「運営委員会はこのことが直ちになされるよう提案/要請/要求/命令した」――提案(suggested) → 要請(requested) → 要求(demanded) → 命令(ordered)の順で命令度は高くなり、「やらねばならない」義務感は強くなり、orderedではまさに「命令」。

that節の意味内容は現実に、実際に「なされるべき/なされねばならないこと」で、それは「仮定」「仮想」上のことではない。

だからthis be done immediatelyのbeの法(mood)は?

この問に正しく答えるのに英語教師や予備校の講師や英文法関係の学習書の著者である必要は全くない。正直者であればよい。

しかし先生も著者も文法学者も授業や本や辞書で命令法のthat節の不定詞(infinitive: ここではbe)を仮定法現在と教え続けてきたのだ。

命令法は命令文だけ、命令文以外の命令法はことごとく仮定法で仮定法現在――「提案」が「仮定」、「要請」も「仮定」、「要求」も「仮定」、「命令」でも「仮定」、ここまでバカげた間違いが、ここまでひどい違「法」がまかり通って来た根本的な原因はもちろん「法」が根本的にわかっていないことだが、ここには「原因」だけでなく、「原罪」がある、ここには誤りだけでなく偽りがある。

仮定法現在でまかり通っている慣用表現もある。

  1. Be it so.
    (それでよい)
  2. Suffice it to say that this subjunctive-present thing is not just nonsense but also a nuisance.
    (この手の仮定法現在ってものはナンセンスなだけでなく、やっかいものだと言っておけばいいだろう)

Be it so. = So be it. (そうあれかし)。Suffice it to say...(⋅⋅⋅と言えば十分だろう)のitは形式主語(formal subject)。

この2つの慣用表現の共通点は古い形式の命令文であること。今風ならLet it be so.、Let it suffice to say...――なんと命令文までも仮定法で仮定法現在! 大間違いはunderstatement、これはもうinsanity――頭、おかしい。

問2 仮定法不定詞(仮定法現在)はどこにある?

英語の仮定法って、どんなmood?のページで仮定法現在を仮定法不定詞(subjunctive infinitive)に改めた。仮定法に2タイプの命名法の文法用語が混在しているのは文法学者の頭が混乱している証拠――仮定法現在はmisnomerではないが、misunderstandingの元。

仮定法不定詞の大本は条件節(if節)で使う用法だが、この用法が過去のものになり、「大本」がなくなった今は、さらに水増し分の命令法を抜き取った只今は英語の仮定法のcameo(名優が演じる脇役)というところ。

動詞wishの目的語のthat節は仮定法過去と仮定法過去完了が基本、名詞wishの中身のthat節は補語でも形式主語itの同格語でも仮定法不定詞。

  1. My wish is/It is my wish that each one of Japanese English grammarians take responsibility for having kept alive such a pack of lies for such a long time.
    (日本の各英文法学者にこんなうそ八百をこんなにも長く保ち続けてきたことに責任を取ってもらいたいものだ)

lest(・・・しないように)節も仮定法不定詞。

  1. Choose the right path to mastering English lest your endeavor come to nothing.
    (努力がむだに終わらないよう英語習得の正道を選びなさい)

譲歩節は法の三つ揃いでいいmood。

直説法(文法レベル):
  1. Whether it is publicly or privately provided, our English education needs to be truly professional to be really efficient.
仮定法(技法レベル):
  1. Whether it be publicly or privately provided, our English education needs to be truly professional to be really efficient.
命令法(技法レベル):
  1. Our English education, be it publicly or privately provided, needs to be truly professional to be really efficient.

「英語教育は公であれ、私であれ、本当に効率的であるために本当にプロである必要がある」――仮定法不定詞と呼ぶべきものを仮定法現在と呼び、命令法であるものを仮定法と偽るのはprofessionalにあらず。

「三つ揃い」は文法プラス技法のことば「英語」の晴れ着――「女三人寄ればかしましい」と言うが、三法寄ればたくましい。

問3 仮定法不定詞(仮定法現在)は他の仮定法とどこが違う?

仮定法不定詞は他の仮定法と「本質」が違う。

今日まで生き延びた仮定法不定詞は純粋に技法レベルの仮定法――仮定法不定詞の不定詞を直説法の動詞形に代えても意味内容は不変、つまり文法レベルでは仮定法不定詞は不要。

if節で使う仮定法不定詞は今日まで生き延びることはなかったが、技法レベルに昇格した姿で英語界を去っている。つまり、直説法のif節(文法レベル)と長らく共存した後にout of fashionとなりout of existenceとなった。

実際のライティングで仮定法不定詞を使うか否かは文体(style)の問題、stylist(文章に凝る人)の選択――仮定法不定詞の硬い表情と格調は、へたをすると気取り、気負いと感じられる。

それでなくとも頻度の高いif節で直説法と仮定法不定詞を使い分け、微妙な選択を頻繁にするのは苦労と言えば、苦労。if節は直説法一本、ストレートでいく方が肩が凝らなくていい、と凝り性の文章家も感じる時に至ったという次第。

平たく言えば、流行(style)にはやりすたりがあるように、if節の仮定法不定詞は書き手にも読み手にも受けない時代になったということ。

『英文法解説』第10章仮定法は「仮定法現在」から始まり、以下のように始まり、例文が続く。

§167. 仮定法現在――(1) 古風な英語で
動詞の原形(Root Form)を使い,次の用法がある。

(1) if節の条件節で 古風な英語で見られるだけで,現在では直説法を使う。

「古風な英語で見られるだけで,現在は直説法を使う」は不正確で、あいまいで、矛盾した解説。

「古風な(old-fashioned)」はnot modern、not fashionableの意で、obsolete(今では用いられない)の意ではない。今if節で仮定法不定詞を使うなら、それが「古風な英語」――「古風な英語で見られるだけ」とは正確にはどういう意味?

「古風な英語」が「古い英語」の意味なら不正確――確かに古い英語ではif節で「現在では直説法を使う」ところが仮定法不定詞、しかしif節が未来時制の場合は直説法を使う、だから「if節に直説法は今風な英語で見られるだけで、古い英語では仮定法を使う」は不正確、20世紀に出版された私の愛読書のいくつかにも仮定法不定詞のif節が出てくる――if節の仮定法不定詞が廃れるのは20世紀後半と私は判断する。

if節で直説法と仮定法不定詞を使い分ける場合、著者は仮定法不定詞をライティングの視点で技法レベルで使っているので、決して「古風な英語」を書いているのではない。「古風な英語」は「文法プラス技法」の英語を長いこと文法レンズだけの片眼鏡、色メガネで見てきた文法家の古色。

「古い英語」と言っても古英語(Old English)なんてどこが英語なのかと思ってしまうような大昔の英語ではなく、現代英語に直結する「古い英語」で検証しておこう。以下は欽定訳聖書(the King James Version 1611年)のルカ福音書第12章の中の1ページ(12:18~12:48)に出てくるif節の全て。

ルカ福音書 12:26:
If ye then be not able to do that thing which is least, why take ye thought for the rest?
(そんな小さなことさえできないのなら、なぜほかのことを気にかけるのか)
ルカ福音書 12:28:
If then God so clothe the grass, which is to-day in the field, and to-morrow is cast into the oven; how much you, O ye of little faith?
(今日は野にあり、明日はかまどに投げ込まれる身の草を神はかくも美しく装うのであれば、ましてやあなた方はなおさらのことではないか、信仰に貧しい人々よ)
ルカ福音書 12:38:
And if he shall come in the second watch, or come in the third watch, and find them so, blessed are those servants.
(主人が夜更けに、あるいは未明に帰ってきて、寝ずに待っていたことを知れば、幸いなるかな僕たち)
ルカ福音書 12:39:
And this know, that if the goodman of the house had known what hour the thief would come, he would have watched, and not have suffered his house to be broken through.
(このことを知るべし、もしも家の主(あるじ)が何時に盗人が来るのかわかっていたならば、見張っていて家に押し入らせはしなかったであろう)
ルカ福音書 12:45:
But and if that servant say in his heart, My lord delayeth his coming; and shall begin to beat the menservants and maidens, and to eat and drink, and to be drunken;
(しかしその召使いが、心の中で主人の帰りは遅れると思い、下男下女をたたき、飲み食いし、酔いだすと)
 5つの if節の内訳:
3つの仮定法不定詞
  • If ye then be not able to do that thing which is least,
  • If then God so clothe the grass,
  • But and if that servant say in his heart,
2つの直説法
  • And if he shall come in the second watch,
  • and shall begin to beat the menservants and maidens,
仮定法過去完了
  • And this know, that if the goodman of the house had known what hour the thief would come,

– 続く –

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