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- 現在分詞と動名詞で人生学
同形態の現在分詞と動名詞を pair(ひと組)にすると、pear(ナシ)の皮を pare(むく)ように英語の表皮をむく変形(transformation:意味が変わらず形態が変わること)混じりの楽しい英語学習ができる。
現在分詞と動名詞で語る英語と人生
Now and then I have tested my seeing friends to discover what they see, and have become convinced that the seeing see little.
Helen Keller
現在分詞(present participle)も動名詞(gerund)も語尾は「-ing」、ですから「現在分詞と動名詞で人生学」とは「ing で人生学」ということになりますね。
ing で学ぶ人生学とは? doing、playing、acting ――行動的な人生をイメージしますか。ですがここは英語道場、「動」は動詞、ing は「現在分詞」と「動名詞」――こんな ing で体験する人生なんてものは、意外におもしろそうでしょう。
「何を見ているか知ろうと目の見える友人たちを折々試しているうちに、目明きはあまり見えていないと確信するようになった」ヘレン・ケラーさんにとって、「見る」ことは「生きる」こと、「人生を見る」ことだったのですね。ところで my seeing friends、the seeing の seeing は何なんでしょうか。と言われて初めて seeing を looking するようでは、英文を見て英語がよく見えていないことになりますよ。2つの seeing はともに形容詞的に機能している現在分詞で、the seeing は「the + 形容詞」の応用、the rich = rich people = people who are rich のイコール関係同様、the seeing = seeing people = people who see(目が見える人)。
盲で聾唖の三重苦にありながら数カ国語に通じ、ing な人生をまっとうしたケラー女史を想えば、目明きが英語ひとつマスターできないのはなんともふがいない――ということになりますが、「変形」に開眼しないと、変形の目で英語を見ないと英語はいつまでたってもよく見えてこないわけです。
Seeing with the eye of transformation is like seeing through English.
「変形」の目で見ることは、英語を見透すようなもの。
第1話:変化を見る
For years, the hardest thing about getting women elected has been getting women to decide to run.
出典:TIME 2018年1月29日号 p.27
- [問1]
- 1つ目の getting は現在分詞か動名詞か?
- [問2]
- 2つ目の getting は現在分詞か動名詞か?
- [問3]
- 2つの getting の用法は同じか?
1つ目の getting が動名詞(gerund)であることは一目瞭然―― getting women elected は前置詞 about の目的語ですから名詞句、名詞句を形成する動詞は動名詞で現在分詞(present participle)ではありません。
動名詞とは名詞機能を兼務する動詞で、動詞機能を兼務する名詞ではありません。
名詞機能とは動名詞句が名詞の文の要素(主語、動詞の目的語、前置詞の目的語、補語、同格語)として機能することで、動詞機能とは文構造(S + V の構造)を形成する機能のことです。
ですから、動名詞は動詞で名詞ではなく、「動名詞」と呼んでいますが、「名動詞」と呼ぶ方がより正確です。
2つ目の getting も一目瞭然、という方は getting を現在分詞、have been getting を現在完了進行形(present perfect progressive form)と判断したことになりますが、そうすると意味が変になりますね。動詞 getting の主語が the hardest thing about getting women elected(女性を当選させることでもっとも困難なこと)となり、「もっとも困難なこと(the hardest thing)」が「女性に立候補の決意をさせる(getting women to decide to run)」という妙な意味になってしまいます。
2つ目の getting も動名詞で、以下の意味になります。
- 引用文の全訳:
- もう何年も、女性を当選させることでもっとも厄介なことは、女性に立候補を決意させることであった。
ここで、問をもう1つ。
- [問4]
- 同形態 a.、b. の決定的違いは何か?
- has been getting:getting は現在分詞。
- has been getting:getting は動名詞。
a. と b. の決定的違いは、動名詞 getting の b. には省略語があること、つまり、getting の主語が省略されていること。
つまり、b. は getting の主語 your 省略により c. → b. と変化(変形生成)した形態。
- has been your getting
意味が変わらず形態が変化することを変形(transformation)と呼んでいます。変形は英語の変化であり、英語は変化に満ち満ちたことばです。
c. の your は特定の「あなた」ではなく、あなたも私も含めた「一般の人」ですから省略することになります。
動名詞の主語は所有格(possessive case)――これが文法ルールですが、目的格(objective case)で代用するのがより一般的です。
さて、ここで、誤解がないように「意味上の主語(sense subject)」なる広く誤解され続けてきた文法用語をきちんと解説しておきます。
動詞形(verb form)が人称、数、時制、法に限定されることなく常に同形である不定詞(誤って「原形」と呼ばれ、誤って「to不定詞」の意味で使われてきた動詞形)、動名詞、分詞を非定形動詞(non-finite verb)と呼んでいますが、非定形動詞の主語を「意味上の主語」と言及することが学習書や授業の慣習になっています。
「意味上の主語」は「意味の上での主語」の意味ですから、「文構造上の主語(つまり、ただの主語)」ではないことを確かに意味しています。
- ■ TMシステムによる動詞と主語に係る第1法則:
- 動詞には、定形動詞であれ非定形動詞であれ、必ず主語がある。
- ■ TMシステムによる動詞と主語に係る第2法則:
- 動詞と主語の対応は1対1である。
- ■ TMシステムによる動詞と主語に係る第3法則:
- ただし、複数の動詞が等位関係を形成する場合は、その複数の動詞に対し1つの主語の対応になる。
TMシステムによらなくとも「法則」は法則ですが、この単純な文法論理を誰も、学者も著者も先生もきちんと確認し、はっきり認識させなかったために、ばかばかしい誤解、はなはだしい無理解が一般化し、TMシステムによらないと「英語の頭」が正常化しない現状になっています。例えば、
- [問5]
- 以下各文の主語はいくつ?
- I want to do that.
(私はそれをやりたい。) - I want you to do that.
(私はあなたにそれをしてもらいたい。) - I promise you to do that.
(私がそれをすることを、あなたにお約束します。)
– 続く –
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どだい、土台が違う
木造平屋建ての土台でビルは建てられない。3階ビルの土台に30階高層ビルは建たない。英語ができるといっても、いわば平屋の英語力と、いわば高層ビルの英語力の違いがある。
どこまで英語力を伸ばせるか。
どこまで実力が積み上がるか、
それは、土台で決まる。
世に、ネイティブ級ライティング力の超高層英語力を
現実に実現できる英語教育は、TMシステムあるのみ。
- TMシステム
- (The Thorough Mastering System)
英語の文法と技法の全容を実際的に深く、
深く実際的に教えきる初の英語習熟教育。
重たい英語学習を避けるなら、
どこまでも、どこまでも、どこまでも
軽い英語力でいくしかない。
深い英語学習を避けるなら、
いつまでも、いつまでも、いつまでも
理解の大不足のままでいるしかない。