Seeing is believing. 英語、ことわざ10選-1.動名詞2つの Seeing is believing. と to 不定詞2つの To see is to believe. にみる技法と文法

ことわざSeeing is believing. と To see is to believe. 、2つの諺で語る英語の動名詞とto不定詞。

English sayings speak volumes about English.
英語の諺(ことわざ)は英語を大いに語る

Seeing is believing.
(百聞は一見にしかず)

Believing without seeing is blind faith. Seeing without believing is a skepticism that's stubborn. Seeing is believing, as they say. So we can't help believing, while sleeping, in the reality of everything we see in our dreams, but on waking up, we open our eyes to the fact that a dream is but a dream. Again, there is an optic illusion, or rather delusion called mirage. We see it in the waking state, but we simply do not believe as far as we know it is a mirage. By the way, have you ever seen one? You need to see it to believe it. Aha!
(見もしないで信じるのは盲信。見ているのに信じないのは懐疑一徹。見ることは信じること──ですから、夢で見るものは全て現実、と眠っているときは信じずにはいられませんね。ですが覚めた目には夢は夢にほかならず。また、蜃気楼と呼ばれる錯覚というより視覚的惑わしもありますね。覚めた目で見ていますが、それが蜃気楼とわかっていれば信じないまでのこと。ところで、蜃気楼を見たことはありますか。それを信じるためにはそれを見る必要がありますよ。そうか!)

  1. Seeing is believing.
    (ことわざ: 百聞は一見にしかず。)
  2. To see is to believe.
    (ことわざ: 百聞は一見にしかず。)

英語の諺は文法で語るものでなく技法で語るもの、しかし伝統文法(traditional grammar)の文法学者 Henry Sweet が A New English Grammar, Logical and Historical でこの2つの諺に言及したのが尾を引いて、 Seeing is believing. と To see is to believe. は動名詞(gerund)と to 不定詞(to-infinitive)の文法的特質の違いから意味的に識別し使い分けている、と主張する半可通にも満たない四半可通な方々がいますね。

まず2つの諺を使い分けるシチュエーションを想定してみましょう。

Dick:
Speaking of yoga, I know a man who can stand on his head alone, without any other support at all. Actually, he's my next-door neighbor.
Nick:
Come on, you must be kidding.
Dick:
No kidding! To see is to believe, as they say. Come with me.
Nick:
O.K. I'll believe it when I see it.
ディック:
ヨガといえば、頭だけで、全く他の支えなしに逆立ちできる男を知ってるよ。実はお隣さんなんだけど。
ニック:
まさか、冗談だろう。
ディック:
まじさ。百聞は一見にしかずって言うだろう。いっしょに来いよ。
ニック:
いいよ、見るまでは信じられないけど。

そのニック、腕組みし、頭ひとつで立っている不思議な人間の神秘に打たれて、

Nick:
Now I see it, I believe it. Seeing is believing!
ニック:
見たからには信じるさ。百聞は一見にしかず!

ディックは I'm going to show you something unbelievable until you actually see it.(実際に見るまではちょっと信じ難いものをこれから見せてやろう。)という意味で諺 To see is to believe. を持ち出したのであり、「未来性」を発揮できる to 不定詞が妥当、一方ニックは「現在進行していること」に言及しているのであり、動名詞の諺 Seeing is believing. が適当――ですが文法はここまで、文法上2つの諺を使い分けることもたまにはあるという話、以下は To see is to believe. 検索で出会った英文。

Being skeptical, like a doubting Thomas, my motto is to see is to believe. (懐疑するトマスのように疑い深いので、私のモットーは「百聞は一見にしかず」。)

この方のモットーが To see is to believe. で Seeing is believing. でないのは、 Seeing is believing. より To see is to believe. の方が表現的好みに合うから、それ以上の理由も、それ以下の理由もなし、ここに文法が割り込む余地はありません。

でもこの英文、非文法じゃないか、と文法の牙をむき、かみつくことはできますよ。確かに、主語は my motto、現在分詞 (present participle) Being の主語は省略されている I(私)、分詞構文(participial construction)Being skeptical, like a doubting Thomas は my motto is to see is to believe に接続しない懸垂分詞(dangling participle)で非文法――さりながら、文法の顔を立て、冴えない I を立てた独立分詞構文(absolute participial construction)で、文を見苦しい面(つら)にするのは「非技法」。

  1. I being skeptical, like a doubting Thomas, my motto is to see is to believe.

ちょうど、a doubting Thomas のトマスさんが Thomas Edison さんでないならどこのトマスさんだとこちら側は苛立っても、あちらの方々にはイエスが復活後初めて弟子の前に現れたとき居合わせず、自分の目と手で確かめるまではイエスの復活を信じないと断言した the proverbial Thomas(かの有名なトマス)と了解できて説明不要なように、わかりきった省略に文法的釈明は不要という次第。

文法的に不要なコンマを前置詞 like の前に打ち、3セグマント Being skeptical、like a doubting Thomas、my motto is to see is to believe の美しい文体裁にする、そも文法上不必要な分詞構文で文を動詞 Being で鋭く切り出す、文法的不要も技術的必要――これが英語ですよ。

文法レベルの英語:
As I am skeptical like a doubting Thomas, my motto is to see is to believe.
技法レベルの英語:
Being skeptical, like a doubting Thomas, my motto is to see is to believe.

英語は「文法プラス技法」のことば、「文法プラス技法」が英語の本質、この英語の本質を無視してきた代表格は文法学者。その理由は自明、文法家は grammarian、grammarian の仕事は grammar(文法)という言語のオペレーティングシステム(operating system)を解明解説すること、文法家は文法に始終するもの。しかし英語には技法というアプリケーション(application)の奥の深い大領域があるのです。

「オペレーティングシステム + アプリケーション」が英語の言語現象、英語界に文法のみでアプローチするなら、それは an approach that deserves reproach(非難に値するアプローチ)――文法書が活力と生気を欠く、分厚くとも薄っぺらい学習書になりがちなのは本質的に誤っている英語アプローチのため。非文法だけが英語の誤りではない、「非現実」という文法家が犯す誤りもあるのです。to 不定詞主語と動名詞主語、この英語現象の全容を「非現実」に陥ることなく記述できた文法家がいないのも道理。

  1. It is difficult to prove bribery. (6語)
  2. To prove bribery is difficult. (5語)
  3. Proving bribery is difficult. (4語)

「贈収賄を立証するのは難しい」は一般論で3文の意味は全く同じ、違いは表現にあるのみ――この違いは、文法でなく、技法の領域。

一般に形式主語[仮主語](formal subject) it は頭でっかち(top-heavy)to 不定詞句主語の不体裁を避ける方式ということになっていますが、「 to 不定詞句主語 = 頭でっかち」の等式は必ずしも成立しません。

  1. To prove bribery is difficult.
  2. To prove bribery is hard.
  3. To prove bribery is hard especially when politicians are involved.
    (特に政治家が関与すると、贈収賄を立証するのは難しい。)

3文の頭(To prove bribery)は同じ、3音節9字 difficult の e. は頭でっかちに見えませんが、1音節4字 hard になると頭でっかちの感あり、しかし when 節で文の尾を伸ばせば頭でっかちはすっかり解消――「頭」の軽重は相対的尺度で測るもの、頭から to 不定詞句主語は頭でっかちと決めつけるのは石頭。

頭でっかちの to 不定詞句主語は形式主語 it で片づくとしても、頭でっかちでない to 不定詞句主語、例えば5語 e. は形式主語 it で6語 d. より簡潔――なのにやっぱり to 不定詞句主語を敬遠する理由は、2つの卓越した表現効果を発揮する動名詞句主語という強力なライバルがいるから。

文頭動名詞の2つの表現的強み
1. 簡潔
2. 活性化(文を動詞で鋭く切り出すことで文に活力と躍動を与え、文を活性化)

to 不定詞句主語との競合に勝った動名詞句主語にも、しかし archrival がいるのです。

  1. It is difficult to prove bribery.
  2. Bribery is difficult to prove. (5語)

そも無表情で魅力を欠く虚辞(expletive)の形式主語 it を to 不定詞の目的語で置換すると、d. から i. が変形生成――結論として、現実の英語界では形式主語、動名詞主語、it 置換主語で表現力を競う三つどもえ戦ということになりますね。

形式主語
It is difficult to prove bribery.
動名詞主語
Proving bribery is difficult.
it 置換主語
Bribery is difficult to prove.

生存競争に負けた「to 不定詞句 + be + 形容詞句」のS+V+Cは an endangered species(絶滅危惧種)ですが、gone extinct「絶滅してしまった」わけではありません。珍しいものは注意を引く、表現的インパクトを持つという裏の読みで技法的裏の手にもなるわけです。結局のところ、「to 不定詞句主語 + be + 形容詞補語」を使うのは、英語に無知な人か、英語の達人。以下は詩人 Pope の名言。

  1. To err is human, to forgive, divine.
    (あやまつは人の常、許すは神の業。)

to 不定詞の意味的特性を発揮できる文法の領域は聖域かと言えば、to 不定詞句主語に聖域なし――主語の主導権をめぐる to 不定詞と動名詞の競合は文法領域にも波及し技法が文法を制する勢い、表現力に優る動名句主語の優勢が文法領域でもトレンド、trendy な動名詞句主語の一例を示しましょう。

Disasters require humanitarian mitigation in the short term. But solving a crisis in the long term requires a country to acquire an ability to look after its own. (大災害は短期的には人道的援助で被害を緩和する必要があるが、長期的に危機を解決するためには、自国の危機に自力で対処できる力を国は具える必要がある。)

出典:TIME 2011年9月26日号 p. 37

solving a crisis in the long term requires... を例に選んだ理由は2つ。

  1. in the long term は a long time in the future という「未来性」を意味するイディオム、「未来性」は to 不定詞の文法特性。
  2. to 不定詞と動詞 require の相性はよく、require の主語が to 不定詞句は比較的一般的。

有力な文法候補 to solve a crisis in the long term を退けた動名詞句主語 solving a crisis in the long term は技法の勝利、原文は技法レベルの英語。

文法レベルの英語1
But to solve a crisis in the long term requires a country to acquire an ability to look after its own.
文法レベルの英語2
But to solve a crisis in the long term, countries need to acquire an ability to look after their own.

しかし、破竹の勢いの動名詞句主語も攻略できない to 不定詞句主語がありますね。百聞は一見にしかず、一見すべきは To see is to believe.。

「to 不定詞句 + is + to 不定詞句」はシンメトリーの美しい造りそのものが表現力の構文(construction)―― to 不定詞の前置詞 to が対称性を際立てるアクセント、文法機能の to も技法の手にかかると表現効果を引き出す小道具、こんな技法の文法活用は「文法プラス技法」の「英語の頭」。その「英語の頭」を作るのがTMシステム

この構文は珍しい構文でなく、結構人気の構文、私もこの構文を使って格言もどきを1つ。

  1. To improve yourself is to prove yourself.
    (向上することは自分の価値を立証すること。)

諺も2つ。

  1. To lose is to win.
    (ことわざ: 負けるが勝。)
  2. To rule the mountains is to rule the rivers.
    (ことわざ: 山を制する者は川をも制す。)

この英語構文は to 不定詞の主語表示という普通の文法機能を拒絶してしまうほど技法色濃厚、n. ~ p. の3文は非文法ではありませんが非英語。

  1. ? For us to promote affirmative action is to make the world a better place to live in.
  2. ? To promote affirmative action is for the world to become a better place to live in.
  3. ? For us to promote affirmative action is for the world to become a better place to live in.
  4. To promote affirmative action is to make the world a better place to live in.
    (差別撤廃措置を推進することはより住みよい世の中にすることである。)

「動詞句(主語)+ is + 動詞句(補語)」の構造パターンを鮮明にする to を冠した動詞句の「to 不定詞句 + is + to 不定詞句」は技法の領域、これまで文法界がこの構文を無視してきたのも道理。

しかし、この際立った構造パターンが文法上の構文であることは自明、この構文を指定する文法用語は必要――そのまま記述すると主語補語 to 不定詞句構文、では長ったらしいので、主·補 to 不定詞構文と命名することにします。the double to-infinitive construction と英名もつけておきましょう。

もしあなたが「~ing + is + ~ing」の r. のような文に出会ったら、まず2つ目の「~ing」は動名詞ではなく現在分詞ではないかと疑ってみてください。

  1. Doing that is inviting trouble.
    (そんな事をしていることが災難を招いているのだ。)
  2. To do that is to invite trouble.
    (そうすることは災難を招くこと。)

現在分詞 inviting だけでなく動名詞 Doing も「している」と進行の意味で訳しましたが、言うまでもなく「進行」は現在分詞の文法特性で動名詞の特性ではありません。ここには「からくり」があるのです。これは変形(transformation:意味が変わらず形態が変わること)の奥も応用の幅もある英語の奥義、ここでは「進行」の意味のある動詞句主語は動名詞句、と頭に入れておきましょう。

  1. Seeing is believing. (3語)
  2. To see is to believe. (5語)

Here's where seeing is believing comes in.(ここが seeing is believing の出番)、諺 Seeing is believing. は 主·補 to 不定詞構文 To see is to believe. に対する文法的挑戦ではなく、技法の舞台での競演――簡潔の極み1文3語、共に1語の主語と補語の語尾は共に「-ing」、「簡潔の美と対称の美」で To see is to believe. に挑んだ Seeing is believing. は 主·補 to 不定詞構文の例外。

文法レベルの to 不定詞句主語の例外である技法レベルの 主·補 to 不定詞構文の主語 To see と、同構文の例外である技法レベルの動名詞主語 Seeing で文法を論じるのは相当にひどい的外れ――英語の技法傾倒が見えなくなるまで文法に偏った文法家 Sweet は英語の見方が甘い。

「文法プラス技法」の英語は「技法プラス文法」の英語でもあり、英文法あっての英語は英技法あっての英語でもあるのです。

[問]
「百聞は一見にしかず」を英訳しなさい。

直訳なら、

  1. To see only once is more convincing than to hear one hundred times.

意訳なら、

  1. Seeing for yourself is its own proof.

かのシェークスピアのかのハムレットのかの有名な科白、と言えば、

To be or not to be, that is the question. (生きるべきか、生きざるべきか、それが問題だ。)

ハムレット仕込み「百聞は一見にしかず」なら、

  1. To believe or not to believe, that is the question of seeing.

there is 構文仕立て「百聞は一見にしかず」なら、

  1. There's nothing like seeing to make you believe.

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どだい、土台が違う

木造平屋建ての土台でビルは建てられない。3階ビルの土台に30階高層ビルは建たない。英語ができるといっても、いわば平屋の英語力と、いわば高層ビルの英語力の違いがある。

どこまで英語力を伸ばせるか。
どこまで実力が積み上がるか、
それは、土台で決まる。

世に、ネイティブ級ライティング力の超高層英語力を
現実に実現できる英語教育は、TMシステムあるのみ。

TMシステム
(The Thorough Mastering System)
英語の文法と技法の全容を実際的に深く、
深く実際的に教えきる初の英語習熟教育。

重たい英語学習を避けるなら、
どこまでも、どこまでも、どこまでも
軽い英語力でいくしかない。
深い英語学習を避けるなら、
いつまでも、いつまでも、いつまでも
理解の大不足のままでいるしかない。